モンテクリスト伯 読書メモ

モンテ・クリスト伯 読書メモ90 7巻読了

旅立ち。 マクシミリアンとの約束の日が来た。モンテ・クリスト島での再会。希望を持てと言う伯爵。希望を持つことを否定するマクシミリアン。 まるで、デュマと読者の心の対比だ。 希望。 言うことはたやすい。 それは、デュマも分かっている。 希望を持っ…

モンテ・クリスト伯 読書メモ89

許し ※ネタバレ含みます ダングラールへの復讐は悲しい。 それは、ダングラールへの哀れみではなく、その苦しみが、ダンテスの老父の姿と重なるからなのだ。ダンテスの涙を感じる。この章でのダングラールへの許しは、ダンテス自身への許しでもある。 破産し…

モンテ・クリスト伯 読書メモ88

呪い 船上の伯爵の口から漏れた、呪いの言葉。 「呪いあれ、」と言った。「このおれを、あの暗い牢獄のなかにとじこめさせたやつらよ、おれがあそこにとじこめられていたことを忘れたやつらよ!」※モンテ・クリスト伯7巻282頁 自らの罪に呪われし者共よ。閉…

モンテ・クリスト伯 読書メモ87

シャトー・ディフ 伯爵は心に沸き立った懐疑の答えを求めて、シャトー・ディフへの道をたどる。かつて捕らえられ、夜道を引き立てられながら歩いた、あの道。今は、陽気な日の光に満ちたあの道。 私は、デュマの風景描写が好きだ。事実描写が淡々と続くこと…

モンテ・クリスト伯 読書メモ86

決別 希望を捨てた女。絶望の淵。メルセデスはモンテ・クリスト伯を前に、これまでの罪を告白する。 そこはマルセイユのダンテスの生家。ダンテスが「生きている」という希望を信じる事が出来なかったメルセデス。 そして、今は自分を救い守っていた夫を捨て…

モンテ・クリスト伯 読書メモ85 復讐の結末ネタバレ含みます。

砕け散る全て幸福と不幸は表裏一体。今日が不幸だから、明日も不幸とは限らない。 今日が幸福だから、明日も幸福だとは限らない。ヴィルフォールの幸福の全ては、いかづちの如き一撃によって砕け散った。幸福とは幻の別名なのか。ベネデットの告白で検事の地…

モンテ・クリスト伯 読書メモ84 ネタバレ含みます。

身を断つ アルベールは悲壮な決意と共に騎兵隊として旅立ち、ベネデットは牢獄で伯爵からの救いの手を待つ。ヴィルフォール邸に重ねて降りかかる不幸は、そこで働く者を怯えさせ、全て従者は新顔に変わった。 自分の邸で起きた連続殺人。 ヴィルフォールの心…

モンテ・クリスト伯 読書メモ83

不倫の果て。 ダングラールの失踪。 そして、妻への置き手紙。 夫人は期待と不安を胸に、不倫相手の元へと駆けつける。 ダングラールの手紙を戸惑いつつ開くドブレー。その手紙の1行目には、ダングラールの皮肉が。 忠実なる妻へ ドブレーは思わず読むのを…

モンテ・クリスト伯 読書メモ82(ネタバレ含みます。)

絶望と希望 私の心を躍動させるもの。善人と呼ばれる人間の存在、振舞い、言葉、表情。私の心を満たす、デュマの物語。 「モンテ・クリスト伯」に描かれる、ファリア司祭の叡智、モレル氏の清廉潔白、マクシミリアンの勇気と誠実。そして、それらの美しい人…

モンテ・クリスト伯 読書メモ81

チェスの一手 場面は変わりダングラールとモンテ・クリスト伯。 何故かこの二人のやり取りは、復讐する者される者という関係でありながらユーモアを感じさせる。 モルセール、ヴィルフォールとの緊迫したやり取りとは異なるダングラールの滑稽さ、ここに注目…

モンテ・クリスト伯 読書メモ80

司祭。 泣くことすら出来ないマクシミリアン。悲しみが喉を縛り上げる。言葉にならないうめき声。 激しい嘆きの波を乗り越え、彼はようやく犯人に対する罪の追及を思い立つ。確固たる意志でヴィルフォールに詰め寄るマクシミリアン。言うべき事を言い切った…

モンテ・クリスト伯 読書メモ79

暁の白薔薇。 翌朝、動かぬ人となったヴァランティーヌ。ベットから滑り落ちた彫像のような白い腕。邸に女性の悲鳴が響き渡る。 人を呼ぶ声に、医師と父親が顔色を変える。 慌ただしい人々の動き、そして動揺。娘を失ったヴィルフォールの狂気にも似た悲しみ…

モンテ・クリスト伯 読書メモ78

父として。 伯爵が去った後も、ヴァランティーヌは自分を殺害しようとする人間がいる事を信じることが出来ない。しかし、それが事実で実行されたとしたら。「マクシミリアンに2度と会えなくなる」、そう思い至って初めてヴァランティーヌは恐怖を感じる。人…

モンテ・クリスト伯 読書メモ77

深夜の訪問者 生死の境をさまようヴァランティーヌ。 虚ろな瞳に映る亡霊たち。一方、マクシミリアンの本心を聞き、ヴァランティーヌを救わんと一睡もせずに棚の影から見守る伯爵。 その伯爵が、遂にヴァランティーヌの前に姿を現した。夢を見ているのかと疑…

モンテ・クリスト伯 読書メモ76

不倫の愛 騒ぎの後、ダングラール夫人は不倫相手のドブレーの元へ。 しかし、ドブレーからは居留守をつかわれ、無理やり中へ入るも待ちぼうけとなってしまう。しかたなく帰宅し、ヴィルフォール訪問のため再び外出。 この結婚を阻む騒動をもみ消し、娘が結婚…

モンテ・クリスト伯 読書メモ75

逃亡者。 身の危険をいち早く察知したアンドレアは、ダイヤを盗み逃亡していた。「パリを離れよう。」アンドレアの選んだ道は、奇しくもユージェニーとダルミイー嬢が進む道。国境を目指すが故に、同じ道、同じ宿を選ぶことになってしまった。この結末は、ユ…

モンテ・クリスト伯 読書メモ74

レオン・ダルミイー 驚愕の事実に一挙に空となるダングラール邸。警部への陳述のため、ダングラールは事務室へ。夫人は化粧室でおびえている。ユージェニーは、ダルミイー嬢と自室で淡々と語り合う。「男っていうものは、誰も彼もが恥知らずよ。」※1アルベ…

モンテ・クリスト伯 読書メモ73

契約書。 結婚の契約書への署名が行われる夜。 パリ社交界の華々しい人々が、ダングラール邸へと集まった。壁面の金細工に反射する燭台の明かり。 笑いさざめく人々で満ちた広間。目前の巨万の富に、気も狂わんばかりのアンドレア。 破産から逃れようと一縷…

モンテ・クリスト伯 読書メモ72

父と娘。 時間を巻き戻し、ダングラール邸。突然の娘の呼び出しに、憮然として客間で待つダングラール。ダングラールにとって破産を逃れる唯一の術が、娘の結婚だった。しかし、ユージェニーは結婚しないと断言する。自分の美しさ、才能、財産を鼻にかけ父を…

モンテ・クリスト伯 読書メモ71

光の天使と闇の天使 ヴィルフォール家に相次ぐ不審な死。 遂に死神はヴァランティーヌに狙いを定めた。マクシミリアンは一縷の望みをかけて、モンテ・クリスト伯を訪ねる。突如倒れたヴァランティーヌ。 救いを求めるマクシミリアン。しかし、伯爵は全く意に…

モンテ・クリスト伯 読書メモ70

明暗。 伯爵の無事を知り、喜びに顔を輝かせるエデ。 静かな胸の高鳴りを感じる伯爵。 見つめ合う二人の元に、モルセール伯爵の到着を告げる声が響く。平静を装い客間へ通すように答えながら、伯爵は死者から生者として蘇生した幸福を噛みしめる。「おお!神…

モンテ・クリスト伯 読書メモ69

マルセイユの庭。 真実を知ったアルベールが父を捨て家を出ることを察した伯爵は、当座の資金を用意する。しかし、アルベールの性格から受取ることはないだろうと考えた伯爵は手紙をベルツッチオに託し、その決断をメルセデスに委ねる。手紙に綴られた過去。…

モンテ・クリスト伯 読書メモ68

悔恨。 我に返った伯爵は、深い悔恨の淵に臨む。 そそりたつ自尊心。 打ち砕かれた復讐。「生」の目的であった計画の未達成。 更には不名誉な結末を迎える事に恐ろしさを覚える。伯爵は自問自答する。 このままこの現実を受け止め、アルベールの前で動かぬ的…

モンテ・クリスト伯 読書メモ67

メルセデスの哀願 個人的に1番嫌いな場面だ。身勝手な女の、愚かな弁明。言葉の端々に現れる自己中心的な言葉。過去の事実を突きつけられても、アルベールの命乞いをやめることはない。美しい母親の愛情とは少し違う。餓死した父親、人生の全てを奪われたダ…

モンテ・クリスト伯 読書メモ66´ ドS伯爵

ドS伯爵 久々にモンテ・クリスト伯 読書メモ´(ダッシュバージョン)です。↓問題のこのシーン。 アルベールの決闘を平然と受けるモンテ・クリスト伯。ドSですよね。ドS伯爵ですよね。もはや、アルベールが可哀想なくらいです。この辺の描写はどれも好きです。(…

モンテ・クリスト伯 読書メモ66ネタバレ有。

青銅の心。 ついにモンテ・クリスト伯の真意に気づいたアルベール。オペラ座観劇の場で、モンテ・クリスト伯へ決闘を申し込む。伯爵は狂気のアルベールに細心の心構えで臨みながらも、表には全くそれを出さない。まさに「青銅の心と、大理石の顔」※1を持つ男…

モンテ・クリスト伯 読書メモ65 ネタばれ注意。ストーリーをたどりながらの感想です。

弾劾 この章は一際 鮮烈な印象を残す章だ。 エデの激しい怒りが炸裂する。 そこには弱々しい女性の姿は無い。 強く、そして美しい。 対するモルセールは成り上がり者。 体面を保つための高慢な態度が、同僚たちの反感を買う。 新聞に掲載されたこの事件は誰…

モンテ・クリスト伯 読書メモ64

海へ。 (あらすじを含む感想です。) 父親の過去を知ったアルベール。 モンテ・クリスト伯は浮かない様子の彼を旅へと誘う。 いつも通りの常識を超えた伯爵との旅、アルベールは疲れ果てるほど楽しむ。 この章は伯爵の身振りやかすかな心情が細かな描写で綴…

モンテ・クリスト伯 読書メモ63

真実を知る。 はるばるジャニナへと旅立ち、アルベールの父フェルナンの過去を確認したボーシャン。プライドが高く正義感に燃えるアルベールは、父の無実を信じきっており、早く話せとボーシャンを急き立てる。この時のボーシャンの一言が良い。 アルベール…

モンテ・クリスト伯 読書メモ62

咆哮。 盗みに入ったカドルッスとブゾーニ司祭に扮した伯爵の会話は面白い。 カドルッスの狡猾で卑怯な性格を表す言葉の数々。 会話の中で伯爵が一人であることを聞くと、一歩踏み出す様子はゾッとする。会話の間一歩、一歩と近づき、説得出来ないと判断した…