モンテ・クリスト伯 読書メモ3

父の言葉

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許婚式の場から連れ去られたダンテス。

残された父親。

彼は、ある言葉を口にする。

「さあ、さあ、希望をもつんだ!」
自分でもなんの意味ともわからずに、ダンテスの父がそう言った。

(アレクサンドル・デュマ作山内義雄訳「モンテ・クリスト伯一」岩波書店)


この「希望」という言葉。

この父親の言葉こそ、第一の大きな伏線だった。

しかも、最終巻の、あの名台詞と対を成している。



優しく聡明な父親。

久方ぶりに戻ってきた息子を、無実の罪で囚われてしまった。
誰よりも悲しく、苦しみの底にある父親。

その父親の口から思わず漏れたその言葉が、その後の息子の人生を暗示しているとは。
復讐の発端となる、その場所で。



デュマがこの「希望」という言葉をこの物語の柱とした事には意味がある。


この復讐の物語の中心には「希望」がある。

隠されたテーマは「希望」なのだ。

どんなに絶望的環境であっても「希望」を捨てなければ、人は生きられる。

牢獄のファリア。
全身マヒのノワルティエ。
そして、ダンテス。

彼等は人生における絶対絶命の時に何を成したか。


不可能を可能にする意思の力。

その精神を動かす原動力こそ「希望」に他ならない。


「希望」とは「光」。


暗闇に、自ら灯す「光」。


心に「希望」を持つ人は、自分を取り巻く状況を冷静に見て、的確な判断を下せる。
更には行動する為の力が溢れてくる。


だから、迷わない。

どんなに闇が深くとも、道が複雑でも、足元が泥沼だとしても。

進むべき方向が分かる。そして、踏み出す気力を持っている。


人は、

「希望」が無いから迷う。

「希望」が無いから立ち止まる。

「希望」が無いから悲しい、苦しい、逃げたくなる。逃げる場所すら分からない。

だから、まず、どうなりたいのか考え、そして、望むのだ。


思い描けばいい。自分にとっての理想を。


まずは、そこからだ。


出来るか、出来ないかではない。


目を見開いて、未来を見据えるのだ。恐れずに。

「希望を持て」

デュマの声がそう呼び掛けている。



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2018.04.21改