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asagao’s blog

日記と雑記、読書メモは個人的感想でネタバレ含みます。

モンテ・クリスト伯 読書メモ15

真実を知り激しい驚きと共に、恐ろしい決意をしたダンテス。

復讐は胸の奥底に秘めファリア司祭に教えをこう。
2年あれば全てを教える事が出来るというファリア司祭。

紙もペンもない場所で学ぶ。

明かりは肉のわずかな脂身で作った灯火。
インクは葡萄酒に暖炉の跡から削り取った炭を入れて作り、ペン先は魚の骨。

テキストはファリア司祭の記憶。

語学、歴史、貴族の所作立ち居振舞い。
驚くべき吸収力でダンテスは学び続ける。

これもまた復讐という目的がそうさせるのだ。
何のために学ぶのかが、はっきりとしていたダンテスと、その目的を察しつつ協力したファリア司祭。

しかし、二人の脱獄の思いは消えるはずもない。

新たな脱獄の計画と、ファリア司祭の病。

恐ろしいカタレプシー。

後少しと言うところで、またもや遠のく脱獄の夢。

早く一人で逃げなさいという司祭の言葉に、最後まで側にいることを誓うダンテス。


その言葉を、ありがとうと受ける司祭。

この物語で重要な位置を占めるファリア司祭。

登場シーンは少ないが、一際鮮烈な印象を受ける。

人はファリア司祭のように年齢を重ねるならば、年を取ることにも意味があるといえよう。

若者であるダンテスが何年もわからなかった投獄の理由を、いとも簡単に見抜いた。

執念を燃やし、気の遠くなるような作業を続け脱獄を企てるも、方角と牢の間取りによって不可能と気づくや否や、なんの躊躇もなく無理だと放棄し、次の計画に移す思いきりの良さ。

物事を感情ではなく、常に論理的に分析する明晰な頭脳。

いくぶん気難しい様でありながら、その実親しみやすさと思いやりのある言動。

まさに、賢者の風格だ。


賢者は他者を嘲る事はない。

常に真摯に語らい、時に激しく追求するも、
決して他者を「きちがい」などと蔑むような事はしない。


現代においても、そのような人物が老いて尚尊敬され、その指導力、判断力、決断力をもってして力ある青年を導く時、はじめてこの世界はバランスを取り戻し、より良い方向へ動き出すのではないだろうか。

若者には力と改革の息吹きがあるが、思慮深さと判断力に欠ける。

年配者は経験からの洞察力決断力があるが、保守的になる傾向がある。

大切なのはファリア司祭とダンテスのように、互いに敬意を払い、教えるべきは教え、学ぶべきは学び、思慮と行動のバランスを対話によって保つなら、社会にしても、会社にしても、あるいは一個の家庭にしてもよき選択ができると思う。

それにしても物語とはいえ、残念でしかたがない。

もし、あと少し脱獄を早めていたなら、ファリア司祭は助かったのに、と思ってしまう。

それほど魅力的な人物だ。