2巻後半は、勇猛果敢なフランツ視点。
アルベールはありきたりな貴族のご子息。
確かに苦労を知らない人の話には、深みも哲学も信念もない。魅力が無い。
その最たるものとして、アルベール登場。
贅沢と自由を満喫し育ったアルベールは、物事を見たままに受け止め、金で解決できない事は無いと信じている男。
ローマの旅行では、素晴らしいご婦人との一夜を夢見るが空振りばかりで、不満一杯。
はて、アルベールはこんなに情けない男だったかしら?デュマの愛情が全く感じられない。
フランツの方がよほど常識人で、この章の主人公的ポジションになっている。
モンテ・クリスト伯とエデの描写は、ラストに数行だけ。ものたりない。
なぜなら2巻の約半分は、フランツ、ルイジ・ヴァンパ、ククメットに割かれている。
山賊の生い立ちとか、悪事の数々とか、悲恋とかもろもろあり。
その所々に、モンテ・クリスト伯の陰が。
あらゆる人脈と人間関係を利用して追い詰めて行く伏線。そういうことなんだ。
とはいえ、いささか遠回りしすぎて本編忘れそう!
…という、読者にまでドSなデュマの2巻終了です。