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進撃の巨人って哲学だなぁ

進撃の巨人(20)限定版 (プレミアムKC 週刊少年マガジン)

20巻を読み返していたのですが、つくづく面白いなぁと思いました。
進撃の巨人

奇想天外な設定。
衝撃的な補食シーン。
圧倒的な絶望感と恐怖。
それだけでも、今までに無いのタイプの漫画ですが、設定や恐怖を煽るだけではこれほど人気は出ないですよね。
むしろ読者を限定されると思います。

しかし、結果この物語は老若男女を巻き込んでベストセラーになりました。

理由はやはり、哲学があるからだと思うんです。

特に20巻。
エルヴィンが、兵士に最終作戦を告げるシーン。

生きる意味、死ぬ意味。
誰もが答えを出せないこの問題に、彼なりの答えを出しました。

ああ、そうかと思うのも束の間、マルロのシーンでは、それでもやっぱり死ぬのは怖いと、人間そのものの心理を描く。

作者は常に、これが答えという押し付けはしません。

こういう考えもある、でも、こう考える人もいると、常にあらゆる角度から一つの出来事を描く。

まさに「選択の繰り返し」が人生だと言わんばかりです。

夢物語や、綺麗事ではすまされない人生の本質が、架空の物語の上に描かれています。


また、登場人物は、ずば抜けた力を持っている人もいれば、持っていない人もいる。
でも、それぞれにしか出来ない役割がある。
誰か1人欠けても目的は遂行されない。
誰もが必要不可欠な存在として描かれていますが、これもまた大切な社会の一面です。

しかも、その一人ひとりの存在に意味をもたらすのは、目標を達成しようと行動する今を生きる人間だ!という主張には説得力があります。

主人公がかすむほど、強烈なインパクトを与える個性的なキャラクター達。

それに加えて進撃の巨人は、登場人物の恐怖心、怯え、困惑、絶望、諦め、といった負の感情の描きかたがリアリティーに富んでいます。読者の感覚そのものです。
更にはヒーローが全くヒーローでは無い。
ヒロインがヒロインでは無い。
敵が敵では無い。
脇役が脇役では無い。

全ての登場人物が、「人間」です。

本当に隣にいそうな「人間」なんですよね。

当たり前の感情を、当たり前に感じる「人間」。


ケニーの最後の言葉も人生を象徴していました。
誰もが「何かに酔っていなければやってられない」と。

人生を突き詰めて考える事は辛い。
生きる事、死ぬ事から目をそらし、
目の前の何かに酔って生きている。

鋭い指摘です。
何かに執着し、何かを追い求めて生きる事しか、
人間は出来ないのか。

そうしているうちに、いつの間にか死はやってくる。

何をしていても、死はやってくる。


生きる意味、死ぬ意味。
生きる意味って?
死ってなんなんだ?


人間は死を直視出来ないといいますが、
実は死を直視することで、生きる意味を知る事になるのではないでしょうか。

エルヴィンの言葉はその事を象徴しているようにも思えます。

これは本当に哲学的なテーマですが、
進撃の巨人は、それを難しく考えずありのままに、ある意味分かりやすく描いています。

今後、彼らがどのような選択をするのか。

そして、その結末は。

楽しみです。