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asagao’s blog

ほぼ日記と雑記。読書メモは個人的感想でネタバレ含みます。

モンテ・クリスト伯 読書メモ55

モンテクリスト伯 読書メモ

アンドレアとユージェニー。
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ダングラール邸を訪問したモンテ・クリスト伯

伯爵の策略で更に財産を失ったダングラールは、その損失を全く顔色に出すことは無い。

しかし、その様子を見て伯爵は確かな打撃を与えたことを確信する。

「よし!」と伯爵は思った。「損をしたことをかくし出したぞ。」※1

以前は損をしたことを自慢していたダングラールの変化。
人間は弱味を知られまいとして行動する。

この人間心理も面白い。
目に見える事だけで判断する人間なら、ダングラールはまだ安泰だと思うだろう。
しかし、それを隠す程の損失だと理解する人間なら、ダングラールの破産が近いことを感じとる。

面白い。

また、このシーンで秘密を胸に秘め伯爵を畏れているダングラール夫人の心理描写は驚愕だ。

「なんの利益にもならない悪とか、なんの理由もない悪とか、そうしたものは、まさに変態としてでもなければ考えられないことなのだった。」※2

利益にならない悪事は働かない。

悪人の行う悪事は常に利益と表裏一体だという。


困惑する。
驚愕する。
そして、納得した。

そうか、だから何か事件が起きたとき、犯人はその事件によって利益を得たものという推理が成り立つのだ。

次に何を狙うのかも、ある程度予測がつく。

人間の行動には全て理由がある。


その理由が、悪人にとっては自身の利益にある。
自分のために、悪事を為す。

善人は他者の為に善を為す。
しかも、善人は善を為すことに喜びと満足を感じる。それもまた自身への利益。



面白い。




※1,2アレクサンドル・デュマ作、山内義雄訳「モンテ・クリスト伯」五、岩波書店

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