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asagao’s blog

日記と雑記、読書メモは個人的感想でネタバレ含みます。

モンテ・クリスト伯 読書メモ58

中傷。
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新聞にモルセール伯爵の中傷記事を見つけたアルベール。

今すぐ取消を!

父親の無実を信じて疑わないアルベールが、滑稽な程猪突猛進する。


モンテ・クリスト伯の忠告も、ボーシャンの説明も全く耳に入らない。


まるで駄々をこねる子供の様に「取消をしないのなら決闘だ」と繰り返す。
呆れたボーシャンは、この中傷記事を徹底的に調べあげると宣言。

ついに、モンテ・クリスト伯の思い通りの展開に発展する。


このくだりのボーシャンは至極論理的で、話の筋道も通っている。
アルベールは、まるで熱に浮かされた様に同じ言葉を繰り返し投げつける、見栄っ張りで幼稚な性格として描かれている。
物語の前半で何人も登場するアルベールの友人には一人ずつ重要な役割があり、その性格の対比がまた面白い。

結局3週間の猶予を得たボーシャンによって、モルセール伯爵の過去が調査される事になった。


さて、この章の面白いセリフ。
モンテ・クリスト伯、「気ちがいどものなかで暮らす以上、気ちがいじみた練習もしておかなければというわけでして。」※

モンテ・クリスト伯はそう言って射撃の腕を磨く。

たしかに決闘が日常茶飯事であれば、そういった修練も必要だろうと思う。

言い換えれば、時代に必要な力は身につけて置かなければならないという事だ。

現代にあっての対人トラブルであれば、それは決闘ではなく裁判で決まる。

射撃の代わりに法律の知識を持つべきなのだ。

何も弁護士ほど詳しくなる必要はない。
憲法によって何が保証されているのかを知るだけでも自分の身を守る事ができる。

無理難題を要求されても、どこまで対応すればいいのか、どこから拒絶できるのか、どこから脅迫になるのか。

その程度の知識でも充分日常生活を守る事ができる筈だ。

身を守る力は、たやすく手に入る。
現代はそういう時代だ。


問題はそこに気づく事ができるのか、実際に身につける行動に移せるかどうかだと思う。

アレクサンドル・デュマ作、山内義雄訳、モンテ・クリスト伯 五 、岩波書店

追記
本文引用に差別用語とされる言葉が使用されていますが、翻訳当時の翻訳者の意向を尊重し、そのまま引用とさせていただきます。
個人的には「悪意、又は敵意ある人」の意味で使用されているものと考えております。2017.01.25