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asagao’s blog

日記と雑記、読書メモは個人的感想でネタバレ含みます。

モンテ・クリスト伯 読書メモ59

毒殺。
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ヴィルフォール邸。
マクシミリアンとヴァランティーヌ、そしてノワルティエ老人が、今後についてを取り決める場面。

未来に希望を見いだしたマクシミリアンと、喜びと不安に目を伏せるヴァランティーヌ。

ヴァランティーヌは
「仕合わせであるとき、いつも気がよわくなるのだった。」※

これは、ヴァランティーヌに限らない。
不幸に慣れた者は誰しも、思いがけない幸福が眼前に現れると不安になる。
そんなとき手を伸ばすのを躊躇うと、その幸福を失ってしまったり、つかみ損ねたりする。
だから幸福になることを恐れてはいけない。
幸福を失うことを恐れてもいけない。
躊躇わず、焦らず、自信を持って幸福を掴むべきだ。デュマはそう言っている様な気がする。

人間は誰しも幸福になる権利を持って生まれてくる。

自分の人生を、他人に左右されることなど絶対にあってはならない。

そんな、メッセージを感じる。



マクシミリアンはノワルティエ老人の言いつけ通り、耐える事と待つ事を誓う。

そして、それを微笑み見つめる老僕バロワ。

この後この老僕を恐ろしい運命が襲う。

喉の渇きに耐えかねたバロワは、その場にあったレモネードを口にする。

不意に襲う発作。

緊迫感溢れる描写が続く。

喜びに満ちていたその場は一瞬にして凍りつき、瀕死のバロワ、駆けつけたダヴリニー、そしてヴィルフォールの会話から、この発作が毒薬によるもので有ることが判明する。

黙して全てを見つめるノワルティエ老人。
弾かれたように視線を移すヴィルフォール夫人。

バロワは毒殺された。

ダヴリニー医師の密かな証明を前に、愕然とするヴィルフォール

犯罪を裁く者、そのヴィルフォールの邸で犯罪が行われている。

その恐ろしさを誰よりも自分自身が知っているヴィルフォール

自らが、自らを裁く事になりかねないこの事態にヴィルフォールの全身は総毛立つ思いだ。

モンテ・クリスト伯

彼の復讐は、仇敵が犯した罪を本人へと与える事。

まさに、因果応報。

追い詰められるヴィルフォール
そして、彼はまだ真実を知らない。

アレクサンドル・デュマ作、山内義雄訳、モンテ・クリスト伯五、岩波書店