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呪術廻戦1巻感想

「呪術廻戦」1巻感想

「呪術廻戦」アニメ2期始まりましたね!
アニメ1期は少し見て放置していたのですが、改めて見直したら面白かったので、今更ですが、コミックス1巻から感想を書くことにしました。
個人的に、現代人の深層心理に訴えかけてくる内容だなと思いました。
ヒットしている理由もココにありそうですね。

呪術廻戦 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

虎杖を縛る遺言

本人も爺ちゃんの遺言を、戦闘中に「呪い」と言っていて上手いなと思いました。

「呪い」みたいなものですよ。
大好きな爺ちゃんが「人を守れ」と言った。
それは、やはり言葉として虎杖を縛る。
その言葉自体が強制するのではなく、それを守らない後ろめたさが、自分の望む生き方ではないという縛り。

学長との対話で「人を守れ」という遺言を実行する目的を「何故?」と突き詰めていく場面は必要な儀式でしたね。

「人を守る」生き方を選ぶか「人を守らない」生き方を選ぶか。
どちらが後悔の無い生き方になるのかで考え、虎杖は本能的に好き嫌いで選びました。

後悔のある生き方は嫌だと。

これは見栄でも建前でもない、そんなのは嫌だ、気持ち悪いという本音。

そして、それは誰かに言われたからでもなく、遺言だったからでもなく、本能的に選び取った「生き方」であり、虎杖が生まれつき持っている魂の方向性なんですよね。

そういうふうに生きる事しか出来ない。決して変わらない部分。

その「生き方」だけが、後悔しない「死に方」にたどり着く。

「死に方」を決めるために「生き方」を確定した虎杖。

つまり、「生死」は表裏一体であり、人間は「死」を直視する事で、初めて「生」を知覚する。

「生き方」に迷う現代らしい漫画です。

「生き方」=「何の為に生きてるの?」は若者の悩み。

そして、年を重ねるほど「死に方」に悩みます。
「どうやって自分の死を受け入れようか。」「どんな死に方をするべきか。」
それは、目をそらし続ける事のできない問題で、必ず死ぬ前に直視するべきテーマ。

この漫画は、死を直視しない生き方を奨励してきた今までのメディアとは真逆のメッセージ性をもっています。

描き方は少々衝撃的ですが。

「自分にしかできない事」がある。

生きる上で「自分にしか出来ない事」から逃げるのは、虎杖にとって心外な事でした。

虎杖のように、差し迫った状況ではありませんが、人間には「自分にしか出来ない事」が必ず一人に一つあるはずで、それを知覚できるかどうかは自分次第だと思います。

例えばパンが大好きで、パン職人になった人がいたとして、その人が毎日パンを焼く。
そして、そのパンを食べて笑顔になる人がいる。

それは、その人にしかできない事で、その人にしかそのパンは作れない。

味とか分量とかの問題ではなく、この世界でその人が存在し、その人がパンを焼くことに意味がある。

「自分にしか出来ない事」とは、「自分が得意な事、好きな事」ではないかと思っています。

使命があるから、好きになるのでは?使命があるから、それが得意なのでは?

そんな風に考えると人生は面白いですね。

覚悟も吹っ飛ぶ「死」との対峙

重ねて覚悟を確認しても「死」を目の前にした虎杖が、泣き喚きそこから逃げようとするシーンは人間らしさが弾けた場面でした。
「生」への固執「死」を厭うのは生物の本能です。

しかし、突如後ろ向きの「逃げ」だった感情が転換する。

それは虎杖にとっての「正しさ」がキーワードになりました。

そして、死ぬその瞬間まで、生きようと抗う事を決める。

絶望、落胆、恐怖に囚われた自分自身の負の感情さえ、生きる為、燃え尽きる「死」の為の薪として魂に放り込んでしまった。

その瞬間に、恐怖も後悔も消え去り、虎杖は苦しみから開放されている。

この転換こそ、人間の面白さではないでしょうか。


少年漫画として、多角的に「生」と「死」を捉える「呪術廻戦」中々面白い試みだと思います。